北斗電子工業株式会社

コアテクノロジーは『計る』技術
北斗電子工業株式会社は、社員の多くが開発技術者という典型的な先端技術集約型企業だ。製鉄・鉄工用計測装置や各種非破壊検査装置といった電子応用機器を製造しており、もともとは特定の鉄鋼メーカー向けの仕事がほとんどだった。しかしながら、近年は取引先を電機・自動車分野などへ拡大し、自社製品も開発している。
同社のコアは「測る」技術。その対象はさまざまで、空気中の微小な静電気や磁気など多岐にわたる。例えば『パーティクルセンサー』は、0.1ミクロン=100ナノ単位の超微細なゴミを発見できる世界最先端技術を搭載しており、半導体製造の洗浄工程で使用する洗浄液に微細なゴミ(パーティクル)が混入していないかを測定する。この測定器は非常に高い評価を得ており、大手半導体関連メーカーに納入されている。
2005年にはISO14001の認証を取得済みだが、さらなる環境への取り組みを検討していた。当然のことながら、不必要な蛍光灯の消灯をはじめとした節電や節水、廃棄物の削減などには取り組んでいたものの、さらに環境への負荷軽減を実感できる活動に取り組みたいと考えていた。
本社移転をきっかけに緑化を開始
そんな想いが2010年の本社移転をきっかけに具現化する。バックヤード全面に天然芝を導入し、さらに植栽を多数行うなど、会社敷地内の緑化を積極的に推進した。植栽はアイデアを巡らせ、ブルーベリー、柿、梨、スモモ、ゴールドキウイなど、食べられる実がなる木を植栽。その理由を中野社長が笑顔で語ってくれた。
「木を植えるなら、美味しい実をつける木の方が楽しいでしょう。実をつけたら近隣の子どもたちに収穫してもらおうと考えているんですよ。自分たちが食べている野菜や果物がどのように実をつけるのか、知らない子どもたちが多いと聞いて、見てもらえる機会を作ろうと始めました」
さらには月に一度、本社の近隣を社員全員で清掃する活動も行っている。
「先述の子どもたちに植栽の実を収穫してもらうのも同じなのですが、清掃活動も環境活動に加えて社会貢献、地域貢献をしたいという当社の想いが形になったものです。私たちが存在する社会に、何かしらフィードバックすることで、地域や社会にやさしい企業を目指しています」
安心・安全が環境に繋がる
また、鉛フリーのはんだの使用を徐々に増やすなど、業務でも環境に配慮した活動も進めている。
「当社は、機械が最も効率よく稼働するよう制御したり、不必要なメンテナンスを省力化するなど、さまざまなムダを削減するセンサーや機械の開発も行っています。当社の商品を有効活用していただくことも、環境改善に繋がると考えています。だからこそ、10年、20年先の未来を見据えた社内活動に取り組む姿勢と当社の商品の特性がうまくシンクロしてアピールできれば嬉しいですね」
新しい社屋の片隅にはツバメが巣を作ってヒナを育てていた。
「ツバメが2年続けて巣を作ってくれました。駐車場の真上ですが、安心してヒナを育ててもらえるように車をそばに止めないようにしています。ツバメも含めて地球上の皆が安心・安全に暮らせるように追求することが、環境の改善にも繋がると信じています」
北斗電子工業株式会社
- 代表取締役社長:中野 学
- 資本金:7,200万円
- 従業員数:31名
- 創業:1968(昭和43年)年
- 所在地:西宮市名塩東久保2-36
- TEL:0797-62-0131